どの血管から出血するのか?

2018.6.10

 脳に栄養を供給するためにクモ膜下内を流れている血管はどのような構造になっているのか?

 ネットで調べると心臓を出て脳に向かう血管は、上行大動脈という太い血管でこれが最初は上に上がり首に向かい、その後胸部大動脈につながっているようですが、その途中でU字型に大きく曲がり下に向かいます。

 このカーブの途中で鎖骨動脈や頸動脈、そしてちょっと細い椎骨動脈への分岐があります。頸動脈は、両耳の下で脈打っている血管ですが、椎骨動脈は首を支えている中心の骨である頸椎に沿って走っています。

 というわけで、ごく簡単に言うと脳に栄養を供給している動脈は基本的に頸動脈が二本、椎骨動脈が二本の計4本ということになります。

 ただ脳内血管の分布を見ると椎骨動脈は脳内に入って一旦脳底動脈という1本の血管にまとまり、さらにその先が枝分かれするようです。

 これに対して頸動脈は脳内に入るとウィリス動脈輪と呼ばれる環状になった血管につながっています。

 クモ膜下出血と呼ばれる病気の出血部位は、上記の頸動脈、ウィルス動脈輪、椎骨動脈と呼ばれる部分が対象になっています。

 特にこういった何本かの血管が結合する部分、逆に分離する部分で出血することが多いようです。

 これは、高速道路のジャンクションやサービスエリアからの合流部分で交通渋滞や事故が起きやすいということと同じ現象であるように思います。

 また分岐部分でも、時に車が中央の枝分かれ部分に衝突することがあるように、血液が絶えずその部分にぶつかるわけで、その結果その部分が膨張し破裂(出血)するということもあります。

 こういった出血がクモ膜下出血の大多数をしめているようですが、時には、何の問題もないように見える直線道路でも、スピード違反の車が路肩に飛び出すように、普通の分岐の無い血管でもその血管壁が突然裂ける場合もあるようです。

 私の場合はこれに該当する様で、最初に入院した大学病院の診断書には正式病名として「破裂性椎骨動脈乖離」と病名が書かれています。どちらかといえば珍しい症例ではないかと思っています。
 


クモ膜下出血の原因



クモ膜下出血という病気について


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