当たり前の動作ができない辛さ

2016.10.5

 普段だと何気なく当たり前のようにやっていることが、何か病気になって体の動きが不自由になると全く出来ないということがいくつかあります。

 「まったくなんてこった」と独り言を言いながら、一人ベッドの上でじたばたしています。まあ60過ぎのおじさんが、ベッドの上で手や足をあらぬ方向に曲げようとして呻いている姿は人に見せられません。

 先ず一つ目が靴下。入院当初は靴下を脱ぐのも履くのも全く駄目。原因は腰の痛みと連動しますが、前かがみになって腕を伸ばすと、太ももの裏に激痛が走るので、靴下まで手が伸びない。

 当初はどうやったら靴下が脱げるんだと真剣に悩みましたが、今はベッドの上に横向きに寝て、身体をエビのように曲げて、手を目いっぱい伸ばし、なんとか痛くない範囲で靴下を脱いでいます。

 逆に朝靴下を履くときは、同じ横向きの姿勢になって、靴下をなんとか指先にひっかけ履くようにしていますが、ともかくこれだけの作業でかなり疲れます。

 同様にズボンを履いたり脱いだりするのも一苦労。なにせ足の先端まで手が伸びないので、重力を利用してズボンをそのまま落とします。当然ズボンは床の上にそのまま落ちますので、あっという間にしわしわになります。

 また落としたズボンを床から拾い上げるのも人苦労。前かがみになって拾うのはほぼ不可能。これはズボンだろうが、ちょっと足元に落とした衣類やタオル等すべて同じ。

 先ずは対象物を気を付けの姿勢で体の真下に来る位置に置きます。次に両足を少しずつ曲げていきます。足にピリッと来る痛みが出る直前に対象物に手が届けばラッキー。

 さらに今日ハタと困ったのが爪切り。爪切りを借りて2週間ほど伸ばしっぱなしだった指の爪を切りました。しかし足の爪はと考えて、手が止まってしまいました。

 ベッドの上で様々な姿勢を取り、何とか腕を伸ばして足の爪を切ろうとしたのですが、どうしても痛くて届きません。5分ほどいろいろ試してついにギブアップ。いずれ親切な方に切ってもらおうかと思っています。

 その他、咳払いやくしゃみを激しくすると肋骨に響くので、コホコホ、クシャといった情けない音となり、ストレスが解消できません。

 というわけで、今までやったことのない動作をするときは、かなり慎重にやらないといけないので、必然的に動作が遅くなります。

 これまでお年寄りの動作は遅いなと思って見ていましたが、今や自分もその仲間です。動作が遅いのは運動神経の問題だけでなく、動作によっては痛くて動かせないんだということが、ようやく少し分かってきました。

 結局、人は自分が実際に体験しないと辛さは分からず、共感は出来ないのだと思いますが、そこへ行くと理学療法や作業療法に携わっている人の共感というのは、実に素晴らしいものだと感じます。

 なんてことを書いている間に、午前中便秘解消のためと称して行われた浣腸の効果が表れ、たまっていたものが 少し解消。今は腹具合が軽くなり、この後のリハビリが楽しみになってきました。


風呂に入ってすっきり



第1章 発症から退院まで


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