脳にバイパスができるまでが勝負

2016.12.2

 前回の「脳がよみがえる」という本、すべて読み終えました。読み終えた感想は、「人間の体の回復力はすごい」というもので、「これ以上は良くなりません」と簡単に断言するような医師は信用できないなと思えます。

 脳卒中とは病気の種類が違いますが、私の好きな笑点というテレビ番組に一時期出ていた林家こん平さんが、最近時折元気な姿を見せるときがあります。多発性硬化症という病気だそうですが、それでも見るたびにわずかですが運動機能や発声機能を取り戻しているようです。

 一方クモ膜下出血で残念ながら亡くなった方も多数いるようで、一時期安定したからと言って無理は出来ないなと感じます。

 ただ問題は何とか生き永らえた場合の後遺症への対策です。病気になって気落ちして精神的にやんでしまう人もいるようで、主治医は前回話をしたとき、「○○さんは、重度の分類だったけど元気だから」という言い方をしてました。

 実際に元気なのか、それとも私自身が気分的に落ち込んでいないことを「元気」と表現したのかはよく分かりませんが、私自身は後者ではないかと思っています。

 なぜそう感じるかと言えば、病気直後の一か月は、記憶はあいまい、今覚えたことをすぐ忘れる、ろれつが回らず会話のあちこちでつっかえる、体がふらつきしっかり立っていられない、ちょっと曲げるとあちこちが痛むという散々な症状だったにもかかわらず、なんとかリハビリを明るくこなしていたからだと思います。

 前回紹介した本にも書いてあることですが、クモ膜下出血のリハビリは出来る限り早い時期から、適切な指導者の下でじっくり始めたほうがよい結果になるようです。

 また成果はあせらずに、地道に続けるという事が大事で、その際指導者から褒めてもらうことが大事だと書かれています。

 実際私も、自分の子供ぐらいの年齢の若いお姉さんにリハビリの指導を受けましたが、「今日はよく曲がりますね」とか「昨日より良くなってます」「ずいぶん体が柔らかくなりました」と言ってもらえるたびに、なぜかやる気が出るという気分を味わいました。

 教育の分野でも、子供たちが勉強をして予想よりできたとき教師が褒めてあげるとより力を発揮するという事がありますが、これは大人でも全く変わらないようです。

 本にも書いてありますが、こういった効果はある程度期間が経過すると減衰してほとんど効果がないと考えている医師も多いようです。

 しかし脳にはバイパスができる作用があって、そのバイパスを構築するまでは苦労するけれど、出来てしまえばうそのように楽になると書かれているのは朗報です。

 私が今感じている高次機能障害のめまいですが、まっすぐ歩くという事がネックになっています。(もちろんほぼまっすぐ歩けますし、ふらつきを時々感じるという程度です)これもひたすらまっすぐ歩く練習を重ねれば、脳のバイパスも補強されるのかなと思われます。

 事実自宅に戻ってから家の中で動き始めてからふらつきの程度は軽減したような気もしますので、日々脳は新しい回路を作っているのではと想像しています。


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第2章 退院後の生活


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